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AAWAA
蚤の市
私は10代の頃から蚤の市に行くことがとても好きです。学生の頃は蚤の市で見つけた60年代から70年代の 服や靴を見つけて、自作のアクセサリーなどを付けて楽しんでいました。今でも旅先へ行くと必ず蚤の市 の日程を調べてそこへ行きます。たくさんのガラクタや古道具、骨董品の中から、その時の気持ちに合っ たものを見つけ出すことは、古物に自分の内を映し出し、それらを通して今の心象風景が現れるような感 覚があります。幼い頃に持っていたような大切な何かを見つける目線で古物を探すのですが、その行為は 私にとってこの上無い喜びです。古いものを探すことは人生の中で一番好きなことと言っても過言ではな いかもしれません。上手くは表現できないのですが、これだと思うものを見つけると、過去と現在が繋がり、理想的な空間を手に入れたような特別な瞬間がやってくるのです。
私の親友のElein Fleissも蚤の市が大好きで、二人で市に行くとその日が終わるくらいです。市場に着くと別 行動をするのですが、時間を決めて集合場所に集まる約束をしても、その約束は守られないのです。今ではアーティストと古いのもの扱うことを仕事の一つとしている彼女は、フランス南西部のサン・アントナ ン・ノーブル・ヴァルにアンティークショップ「 Le Batèl」も経営しています。
京都では東寺や北野天満宮で毎月のように蚤の市が開催されており、私は月初めの日曜日にある東寺のガ ラクタ市に夢中になっています。毎月21日は東寺弘法市、25日は北野天満宮骨董市などが開催されてい る。 子供の頃、大量の骨董品の壺や家具などが溢れた館で好きなものを探すという夢を時々見ていました。中 国の民話で壺の中にある骨董市場の世界に入った男がそこから出て来れなくなったという話を読んだ時、 私の行く末を暗示しているような、妙に腑に落ちる話だなと思ったことを思い出します。人はなぜ古物に惹かれるのでしょうか。
Text and photograph by AAWAA